腕立て伏せをスムーズに動作させるには「足のつま先」が重要な役割を果たします。
これは今トレーニング真っ最中で9月21日にSASUKEオーディション予選会トライアウトにチャレンジ予定の腕立て伏せ専門パーソナルトレーニングのクライアントに教える事を通じ改めて身に染みたことです。
新しい気付き「足のつま先を曲げる=常識ではない」
腕立て伏せを日常的に行わない人や腕立て伏せの動作に慣れていない人で、靴シューズを履いている場合に特に多く見られます。
すなわち靴のつま先を曲げずに「トゥーチップ(先ゴム)」の部分を立てて腕立て伏せを行うのです。
これはパーソナルトレーニング初日の初見に気づいて爪先を曲げるようにアドバイスしました。腕立て伏せを30年続けてきた人間にとって、靴を履こうが裸足であろうが、つま先を曲げることは誰でも出来る常識と思っていたので目から鱗が落ちました。
そこで今回は腕立て伏せの専門家として、
腕立て伏せは足のつま先の筋力・角度・バランス・柔軟性そして前脛骨筋を鍛えることが超重要な点をマニアック解説していきます。
👣足のつま先の筋力の重要性
格闘技やボクシングの世界でも「走り込みでパンチ力が上がる」「ハンドスピードが上がる」「パンチは足と腰で打つ」と聞いたことがある人も多いでしょう。
パンチの動きは、まず足のつま先を始点に地面を蹴り脚から腰を回転させ上半身にパワーを伝えます。下半身と連動出来ないパンチはいわゆる手打ちパンチや猫パンチになるのです。
一方、腕立て伏せは始点であり支点でもある「足のつま先(床反力)で作られたエネルギー」を脚➡体幹➡上半身に伝える連動性のある動作でボクシングの力の伝え方に似ています。
人間の筋肉の構成は7割が下半身、3割が上半身にあります。
腕立て伏せにおいて、筋肉の7割も占める下半身の大腿四頭筋や下腿三頭筋の利用率が腕立て伏せの回数やスピードなどパフォーマンスに直結するのです。
上半身だけしか鍛えていない人では、床反力の力をうまく上半身に伝えられず、腕立て伏せの実力に差が付くので下半身も必ず鍛えることが重要です。
👣足のつま先の位置・角度の重要性
足の動きの無駄を省くために「つま先(足)」の角度も重要です。
腕立て伏せユーザーの中にはトップポジションでの休憩から下降フェーズの運動に移行する際に、身体の軸が左右にブレている人がいます。
すなわち足の踵の角度がまっすぐでなく横に傾いているのです。この角度は本来の腕立て伏せには無い動きで、下半身の力のロスや時間制限のある競技の場合はレストまでのタイムロスに繋がります。腕立て伏せの初心者に多く見られますが上級者でも癖になっている場合もあるので傾けないよう修正の必要があります。
腕や胸の力を効率よく地面に伝えるためには、力の伝達経路の最適化が重要。つま先から手先まで、全身を通じて力が連鎖的に伝わるようにするには、つま先がしっかりと適性の角度で固定されているのがベストです。つま先が不安定だと、力が逃げてしまい、効果的なプッシュアップが難しくなるのです。
👣足のつま先の動き・バランスの重要性
腕立て伏せは、全身の筋肉を使う全身運動です。つま先をしっかりと床に固定することで全身が安定し、体が揺れることなく正確な動作が可能となりコア(体幹)と下半身がしっかりと支えられるため、上半身の力を最大限に発揮できます。つま先が安定していれば、腰が落ちたり、背中が丸まったりすることなく、一直線の正しいフォームの姿勢を保つことができます。
腕立て伏せ動作中のつま先は極力「動かさない」最小限の動きが正しいです。
先に挙げたつま先の筋力と位置・角度が最適化されていれば自然と腕立て伏せの動作にベストなつま先の動きになります。
試しにつま先を床に着けず宙に浮かす「膝付き腕立て伏せ」とつま先を床に着ける「四つん這い腕立て伏せ」の両トレーニングを行ってみて下さい。
つま先を床に着ける「四つん這い腕立て伏せ」の方が楽に感じるはずです。
これは簡単な理屈で、単純につま先でバランスが取れるからです。
これがつま先のバランスの恩恵であり、つま先の重要性を強く感じられる比較トレです。
👣足のつま先の柔軟性の重要性
「足のつま先が硬い人もいる」
体が硬いと言えば、一般的に肩甲帯、体幹部、股関節部が挙げられますが、つま先は歩く時や階段を上がる時にも必ず屈伸される部分で人間皆柔らかいと先入観で思ってたので、つま先にも柔軟性の大小があるのに気づかされました。
足のつま先が曲がりにくくてお困りの方がいたら、つま先の筋肉を使う腕立て伏せを定期的に行うことをおすすめします。
足のつま先が硬く立ち気味の人へのアドバイス
腕立て伏せの最中に、つま先を寝かすように部位を意識する。つま先が立っていると下半身のパワーが上半身に上手く乗らず連動性が悪くなり上半身の負荷が上がります。しっかり爪先を寝かすことで力のロスを防ぎ効率的な動作が可能です。
裸足で行ってみる
靴が存在しなかった古代人はみな裸足、腕立て伏せの運動の原点が登場した古代インドからも裸足で行う人がほとんどでした。
※靴は存在していたが、一般庶民の間での靴の使用は限られていたとされる
私も腕立て伏せマシンを製作する2年前までの28年間、ずっと裸足でトレーニングしていました。テレビ番組で腕立て伏せの記録にチャレンジした時も常に裸足で靴を履いたことは一度もありません。
そう、裸足が最も腕立てで力を発揮出来るのです!
裸足でプッシュアップを行うメリット
💪裸足で行うことで、足の裏の感覚がより敏感になり、足全体でバランスを取ることができるので接地感覚が増し、 バランス感覚が向上します。
💪靴を履かないことで、つま先やかかとの位置を自由に調整しやすく、身体全体が自然な状態で動けるため、より効率的な自然なフォームで腕立て伏せが出来ます。
💪裸足でトレーニングすることで、足の指やアーチ部分の強さ、柔軟性が向上し足全体の機能性が高まるので足や足首の筋力強化も出来ます。
💪裸足で床に触れることで、足底筋膜(足裏の腱膜)が刺激され、筋肉や腱の強化に繋がります。足底の感覚を研ぎ澄ませることで、全身の動きで行う腕立て伏せの連動性が高まります。
一方で靴を履くメリットもあります。
💪汗対策に
長時間の連続したトレーニングや夏場の屋外で行うなど汗が大量に出る場面では、汗で滑ってトレーニングが続行できなくなるので靴を履くといいでしょう。
💪地面や床が滑りやすい場合
フローリングやカーペットなど滑りやすい素材では滑り止めの役割を果たし滑りにくく、安定した姿勢を維持できます。
いずれにしても、靴を履く場合は、裸足感覚に近い動作で行える「ソールの薄い靴」「5本指シューズ」などがおすすめです。
👣前脛骨筋の発達の重要性
腕立て伏せの強者は、前脛骨筋を見れば分かる!
下半身の疲労などで足がプルプルし踏ん張りが効かなくなると、上半身が元気でも腕立ては続行出来ません。ボクシングの世界でも過酷な走り込みの後や、試合中でもフットワークで動き続けた後半のラウンドは上半身の力が残っていてもパンチ力やハンドスピードが落ちます。あのモンスター井上尚弥でも例外ではありません。
どんなスーパーマンでも試合や大会の一週間前から疲労を完全に抜く作業に入るのです。
つま先をうまく使うことで、上腕三頭筋や三角筋への負担を軽減し、全身の筋肉で負荷を分散させることができます。疲労の分散でより長時間の連続トレーニングが可能になり、腕立て伏せの回数やセット数を増やすことも可能です。
つま先をうまく操るためには前脛骨筋の強化がマスト。腕立て伏せで使用する下半身の筋肉で最も重要視すべきは「前脛骨筋」なのです。
👣腕立て伏せでつま先を鍛える方法=前脛骨筋を鍛えよ
つま先の筋力強化は前脛骨筋が鍵を握ります。
初心者向けの前脛骨筋トレーニング
腕立て伏せの動作だけでも鍛える事は可能で方法は「両足を閉じる」だけ
足を閉じるだけでも前脛骨筋を強く刺激出来ます。試しに足を50㎝以上拡げた状態で腕立て伏せをしてみて下さい。前脛骨筋の疲労はほぼ感じなくなるはずです。
上級者向けの前脛骨筋トレーニング
❶デクラインハイプランク
やり方<手幅60㎝~70㎝、プランシェ気味に肩を前に出す>
・脛を鍛える為にもつま先は立てずに曲げて行う。
・時間経過に比例して肩のラインが後ろに下がらないようにスタート時のフロントポジションをキープする。
・肩を前に出しやすくする為に事前に手首のストレッチをいれる。
・この種目は時間の長さが重要でなく”質”が重要なので5分を超えられないような負荷調整が理想。
❷メディシンボール3個を使った腕立て伏せ
両手と足のつま先の3点を不安定なボール上に置くトレーニング。
動作の度に全身特に体幹の筋肉を使わないとバランスがとれないので、足のつま先に大きな負荷がかかる究極のスタビリティトレーニングです。
上の動画で紹介していますが、和太鼓の音(3秒に1回)のリズムに合わせて力尽きるまでノンストップで行うルールで記録は215回(10分51秒)
強制的に足を閉じる必要性があり、両つま先で不安定なボールのバランスを取る為、体幹の力が必要でとにかく脛の筋肉がメインターゲットになるため大疲労します。
つま先の力とバランスを意識することで、腹筋や背筋、股関節周りの筋肉がしっかりと働くので体幹の強化トレーニングにもつながります。
腕立て伏せをせずともボール上でハイプランクの姿勢でバランスを取るだけでも大きな効果が得られます。
このように、腕立て伏せではつま先の力とバランスが超重要であり、それが全体的なパフォーマンスとトレーニング効果を高めるポイントとなるのです。
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